2017/12/13

割り箸を削る。不可逆な行為

久しぶりの更新です。
割り箸を削ってみました。



















・きっかけ
 大学生の時で、夜中のもう寝る前だったと記憶している。
アパートの自室で、ちゃぶ台の上に使わないまま置いてあったコンビニの割り箸がふと目に入った。何と無くヒマであった自分はカッターナイフで割り箸を削ってみようと思い立った。気づくと削るだけではあるが、形状やラインや量感などを意識しながら、夢中になって黙々と作業していたのを覚えている。このときに割り箸も充分な物作りの素材になるのだな、と出来上がったものをみて関心したのも記憶している。深夜に気分で作ったものなので、自画自賛してしまうところは多分にあったが・・・。
 
 この経験を最近、ふとしたきっかけで思い出し、割り箸をまた削ってみようかと始めてみた。

 割り箸自体、生活の中で身近なもの。コンビニで買って来た弁当などと一緒に付属してきて、食事の時にのみ使われ、食べ終わった容器とともに捨てられていく。重要な役割があるが、粗雑に扱われるものだったりする。

 ティッシュゴミを焼き物で表現した自分にとっては、ティッシュと割り箸に共通点を感じてしまった部分がある。ティッシュもまた同様に用途が明確であり、その瞬間に役目を与えられ使ったら捨てられていくものである。

 この一瞬なものたちに、自分としては強く惹かれる部分があり、今回の制作に至ったわけである。


・今回は割った箸の片方だけをそのままの状態で残すことにした。

 割り箸の片方だけをそのままの形状で残すことで、削る前と削った後を並べて比較することができる。ペアで成立する箸の片方だけを残すことで片方は置いて行かれたような印象も受けるが、両方に手を加えてしまうのは何か違うような気がしてこのような形をとった。割り箸らしさの痕跡を残したい気持ちもあったりもする。
 今回、削る行為のみで形を作っていくため、削った後では元の形状には戻れない。元に戻れない不可逆的行為の連続なため、あえて削る前の状態を残しておきたい気持ちが起きたのかもしれない。


・制作の工程

 割り箸をカッターナイフで削り、紙ヤスリで表面を整えていく。
 削る時は形を見ながら自分の中で最良と思われる形状を模索し、緩急をつけながら形を探っていく。この形だと思う形状を決めて、削っては形状の確認を繰り返して完成に至る。

・材料 割り箸

 元禄箸 アスペン材(ASPEN)